いいお兄さんの日(鯉登平之丞夢)
夜、夜間の勤務に行く前に顔が見たいとナマエの家へ寄った平之丞。
少し家のあたりを散歩しつつ、ナマエは平之丞が手に持っている丸い厚紙に気づき、「平之丞の持ってるの、それ何?」と聞く。
「今日(きゅ)は音と一緒にメンコ作りしたんじゃ。お互いん顔んメンコ作って交換したがよ。」そう言って、平之丞はナマエにメンコの表を見せる。
見ると、可愛らしい鯉登平之丞少尉という字と、平之丞の似顔絵らしき笑った優しい男性の絵が描かれていた。「ふふっ、かわいいね。」「じゃろ?なかなか上手かど。」「漢字も書けるようになったんだ。」「最近、覚えたてでよう書きたがっど。」そういって平之丞は嬉しそうに笑いながら、大事そうにメンコを軍服にしまう。
ちゃんと仕事にも持っていくんだ、ナマエは微笑ましく見ながら、優しくていいお兄さんだなぁと改めて思う。
「ナマエもまたうちに来やんせ。父上も母上も音も待っちょっじゃ。」
「音くん、私にもメンコ作ってくれるかなぁ。」
「今夢中じゃっで、たくさん作っど。」
そう言って豪快に笑うと、いつのまにかあたりを一周してナマエの家の玄関前に帰ってきたことに気づき、平之丞は真面目な顔に戻って「じゃあ、行ってくる。」とナマエの頭を撫でて背を向けた。
「いってらっしゃい。」そう呟き、ナマエも玄関に入る。
こぼれ落ちそうなくらい瞬く星たちに、(今回も無事に戻ってきますように。)と平之丞の武運を願いながら。
END
※コメントは最大500文字、5回まで送信できます